Maker / Sky(MKR→SKY)とは?DeFiの老舗が「Endgame」で大転換した全貌を2026年最新情報で解説
ポイント
- MakerDAOはSky Protocolへの移行を完了し、MKRはSKYトークンへ1:24,000の比率で変換されている
- 2025年5月以降、ガバナンス権限はSKYに移行。MKR保有者は1:24,000の比率でSKYに交換しなければガバナンス投票に参加できない
- 2026年2月時点で、GMOコイン・Coincheck・SBI VCトレードなど主要な国内取引所はMKRの取り扱いを廃止しており、国内でのMKR取引は事実上困難な状況にある
- Sky Savings Rate(SSR)は2026年5月時点で年率3.75%で稼働しており、USDSをステークすることで利回りを得られる
DAIを生み出した「老舗DeFiプロトコル」が、2024年から2025年にかけて劇的な変身を遂げた。MakerDAOはSky Protocolへとリブランドし、ガバナンストークンをMKRからSKYへ移行するという、DeFi史上でも最大規模の構造転換を断行した。単なる名称変更ではなく、トークン体系・ガバナンス・ステーブルコインの設計まで根底から変えている。
Maker / SKYとは
MKRはMakerDAOとMakerプロトコルのガバナンストークンであり、Ethereumブロックチェーン上で動作する分散型組織・ソフトウェアプラットフォームを通じてDAIステーブルコインの発行・管理を行う仕組みだ。
DAIとは、1ドルへのペッグを維持するように設計された分散型ステーブルコイン(特定の法定通貨に価値が連動するよう設計された暗号資産)だ。USDCやUSDTと違い、中央集権的な企業が担保ドルを預かるわけではなく、Ethereumなどの暗号資産を担保としてオンチェーンで生成される。これがMakerDAOの最大の特徴だった。
MakerDAOの「Endgame」変革は創業者ルーン・クリステンセン氏によって2022年から構想され、DAIによる分散型ステーブルコイン発行のパイオニアであるプロトコルが、2024年にSky Protocolへリブランドした。新たなステーブルコイン「USDS」、新ガバナンストークン「SKY」を導入し、モジュラーなSubDAO(サブDAO)アーキテクチャを段階的に実装している。
Sky Protocolの主目標はDeFiをよりシンプルで近づきやすくすること。MakerDAOは上級者向けには機能していたが、学習コストが高く技術的なインターフェースが敷居になっていた。Sky Protocolはその点を改善し、伝統的な貯蓄ツールに近い使い勝手を保ちながら、分散型ガバナンスは維持する設計を目指している。
仕組み・技術
担保型ステーブルコイン発行の基本
MakerプロトコルはEthereumのスマートコントラクト上で動く。ユーザーはEthなどの担保をロックし、その価値に対して一定割合のDAI(現在はUSDS)を借り出す仕組みだ。担保の価値が一定比率を下回ると清算が発動する。これが**Vault(ヴォールト)**と呼ばれる仕組みで、MakerDAOが2017年から運用してきた核心機能だ。
TVL(Total Value Locked=プロトコルにロックされた総資産額、DeFiの規模を示す指標)は2026年1月時点で約58億ドルから97.5億ドルの範囲で推移している。
ガバナンスの仕組み
ExcutiveVotingとGovernance Pollingという二層構造のガバナンスを通じて、MKR(現在はSKY)保有者がMakerプロトコルの管理と財務リスクを担う。議決権は投票コントラクト(DSChief)にステークした量に比例し、ロック量が多いほど意思決定への影響力が大きくなる。
MKR → SKYへの転換
プロトコルの変換レートは「1 MKR → 24,000 SKY」で固定されている。なお、SKYからMKRへの逆変換はSky Protocolを通じては不可能だ。
移行を急がせる仕組みも設けられている。2025年9月に発効した「Delayed Upgrade Penalty(遅延アップグレードペナルティ)」は、変換で受け取れるSKY量を1%減らすもので、3ヶ月ごとにさらに1%ずつ削減幅が増え、25年後に100%に達する設計だ。
SubDAO(スターDAO)アーキテクチャ
このアーキテクチャは、従来型企業の事業部制——異なるビジネスユニットが共通の戦略ガバナンス下でそれぞれ自律的に動く構造——をDeFiプロトコルに応用したものだ。Sky Protocol全体の方向性はSKY保有者のガバナンスで決まる一方、個別のプロダクト開発はSubDAOが担う二層構造になっている。
Sky Savings Rate(SSR)
DAI時代の「DSR(DAI Savings Rate)」に代わるものが**SSR(Sky Savings Rate)**だ。SSRはSky Governanceによって設定され、プロトコル収益から資金が供給されるUSDSホルダー向けの年率利回りで、2019年からMakerDAOが運営してきたDSRの後継にあたる。
歴史・主要マイルストーン
| 年 | 出来事 | |---|---| | 2014年 | ルーン・クリステンセンがMakerDAOを構想 | | 2017年 | MKRトークン発行、シングル担保DAI(SAI)ローンチ | | 2019年 | マルチ担保DAI(DAI)とDSRを導入 | | 2021年5月 | MKR最高値 $6,292を記録 | | 2022年 | Endgame計画を公表、TVL最高167億ドル到達 | | 2024年9月 | MakerDAOが「Sky Protocol」へリブランド、USDS/SKYを導入 | | 2025年6月 | SKYステーキングプログラム開始 | | 2025年9月18日 | MKR→SKY移行フェーズ完了、Delayed Upgrade Penaltyが発動 | | 2026年5月 | Laniakeaフレームワーク提案・Oseroへの1,350万ドル投資など新展開 |
MKRの全時間最高値は$6,292.31で、2026年6月時点では同ピーク比で約79%下落した水準で推移している。
現在の市場動向(2026年6月時点)
2026年6月6日時点でのMKR価格は$1,323.24、24時間取引量は約$119,670と、流動性が大幅に低下している。これは国内外の主要取引所でのMKR上場廃止が進んだことが直接的な原因だ。
プロトコル本体はSKYを中心に進化が続いている。2026年5月12日には、Skyエコシステムがステーブルコイン利回りプラットフォーム「Osero」への1,350万ドルの共同出資を完了し、USDS活用の拡大を図っている。
Sky Protocolの直近のアップデートは財務安定性とインフラのスケールに集中しており、2026年4月には資本準備金を強化してステーキング報酬の長期持続性を確保するアップグレード提案が行われた。さらに4月28日には「Laniakeaフレームワーク」が提案され、新たな資本エージェントのオンボーディングを標準化・加速させる共有OSの構築が計画されている。
インフラ面では2026年中にStarkNetとの統合やクロスチェーン流動性の強化も予定されている。
ルーン・クリステンセン氏は2025年11月のフォーラム投稿で、2026年以降に向けたロードマップを公開。SkyLinkによるクロスチェーン互換性、srUSDS(レバレッジ流動性)、新しいGeneratorシステムなどの開発が進行中であることを示した。
日本での購入方法
2026年時点では状況が大きく変わっている点に注意が必要だ。
2026年2月時点で、GMOコインは2025年10月4日にMKRの販売所・取引所サービスを終了、SBI VCトレードは同年10月29日にMKRの買付を停止、Coincheckも2025年9月8日に取り扱いを廃止している。
bitFlyerは2025年9月時点でMKRの取り扱い継続を発表しつつ、SKYの取り扱い開始を予定しており、詳細な時期は追ってアナウンスするとしていた。国内での最新の取扱状況は各取引所の公式ページを随時確認すること。
海外取引所(Binance、Coinbase、Kraken等)ではSKYが上場されており、アクセス方法はある。ただし日本在住者が海外取引所を利用する場合は、金融庁への登録の有無を確認する必要がある。
日本で暗号資産を購入する際の現実的な流れは以下の通りだ。
- 国内登録取引所で日本円を入金してビットコインやイーサリアムを購入
- 自分のウォレット(MetaMaskなど)に送金
- sky.moneyなどのDEX経由でSKYを取得(ガス代=Ethereum手数料に注意)
投資リスクと注意点
トークン移行リスク
ペナルティはMKRをSKYに変換する際に受け取れるSKY量を1%削減するもので、3ヶ月ごとにさらに1%増え、25年後に100%に達する。つまり放置すればするほど損になる設計だ。MKR保有者は早急に状況確認が必要だ。
ガバナンス参加要件の変化
MKRは依然として1:24,000の比率でのガバナンス投票に有効で、アップグレードに期限はない。ただし新しいガバナンスモジュールはSKYを前提とするものが増えており、積極的に投票参加していた保有者の多くはすでに移行済みだ。
流動性リスク
国内主要取引所からのMKR上場廃止により、日本円での換金が従来より大幅に難しくなった。スプレッドや流動性の問題が顕在化している点は見過ごせない。
日本の税制
日本では暗号資産の売却益は雑所得として総合課税の対象となり、他の所得と合算されると最大55%(所得税45%+住民税10%)の税率が適用される。MKRをSKYに変換する際も、その時点の時価によるみなし譲渡として課税対象になる可能性がある。国税庁の最新の取り扱いや税理士への確認を怠らないこと。
プロトコル固有リスク
- スマートコントラクトの脆弱性(バグ・ハック)
- 担保資産(ETHなど)の急落による大規模清算
- Endgame移行の長期化・コミュニティ分裂リスク
まとめ
Maker / Sky(MKR→SKY)は、2017年から稼働するDeFiの草分け的存在だ。「DAIというステーブルコインをオンチェーンで発行する」というアイデア自体は今も機能し続けており、プロトコルとしての技術的完成度は高い。
ただし2026年現在、投資対象としてのMKRは完全にレガシー資産に近い位置づけとなっており、プロトコルの実態はSKYへの移行が完了している。国内取引所での取り扱いがほぼなくなった今、日本から関与するハードルは以前より格段に上がっている。
筆者がこのプロトコルを注目し続ける理由の一つは、DeFiにおけるRWA(Real World Assets=現実世界の資産のオンチェーン化)への取り組みと、SSRによる実質利回り提供という設計の先進性だ。一方、Endgame改革の複雑さとトークン移行のコミュニティへの影響については、引き続き慎重に見極める必要がある。
よくある質問
Q1. MKRを持っているが、SKYに変換すべきか?
ペナルティは2025年9月から発動しており、放置するほど受け取れるSKY量が減少していく。3ヶ月ごとに1%ずつ削減幅が増加する仕組みだ。一方でアップグレードに期限はなく、MKRのままでも直ちに価値がゼロになるわけではない。ペナルティの累積を避けたい場合は、sky.money公式サイトでの変換手続きを検討すること。
Q2. DAIはどうなったのか?USSDとの違いは?
DAIとMKRは引き続き並行して存在するよう設計されており、既存のDAIとMKR保有者は慣れ親しんだトークンで利用を続けられる。USDSはDAIの後継ステーブルコインで、SSR(Sky Savings Rate)という利回りプログラムに参加できる点が主な違いだ。DAIからUSDSへの変換も任意で可能だ。
Q3. SKYはどこでステーキングできるのか?
Sky Protocolのステーキングプログラムは2025年6月に開始した。年率16%のUSDS報酬とガバナンス権が得られ、すでに5億6,800万ドル相当のSKYがステークされており、プロトコル収益の半分がバイバック(市場買い戻し)に充てられている。sky.money公式サイトから直接参加できるが、MetaMaskなどのセルフカストディウォレット(自分で秘密鍵を管理するウォレット)が必要だ。