暗号資産2026年07月01日 12:51·4分で読めます

木原誠二氏「通貨主権を守れ」──IVS2026が映し出す日本のオンチェーン金融の岐路

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ポイント

  • 自民党衆院議員・木原誠二氏がIVS2026 CRYPTO ZONEのパネルセッションに登壇し、日本の通貨主権維持をブロックチェーン金融の文脈で訴えた
  • セッションテーマは「AIとオンチェーン金融」。技術と制度の交差点が日本の政策議論に本格的に入ってきた
  • IVS2026はNADA NEWSがプロデュースするCRYPTO ZONEを併設、国内最大級の起業家カンファレンスがWeb3・AI融合の場へと変貌しつつある
  • 「通貨主権」という政治家の口から出た言葉は、ステーブルコイン・デジタル円政策の今後を読む上で無視できないシグナルだ

2026年7月1日、京都で開催中のIVS2026。その中のCRYPTO ZONEで、木原誠二氏が登壇しAIとオンチェーン金融の現在地を語った。政治家がこの種のパネルに立つ意味は小さくない。政策の「本気度」が問われているからだ。


「通貨主権」という言葉が重い理由

木原氏は通貨主権への脅威を正面から語った。これは単なる政治的レトリックではない。

ステーブルコインの世界を見れば、米ドル建てのUSDCやUSDTがオンチェーン決済の事実上の基軸通貨になっている。日本円建てのステーブルコインはまだ極めて存在感が薄い。トランザクションが米ドルペッグのトークンで完結するなら、円の決済需要は削られていく。国際的な資金フローのレイヤーが「ドル一強のオンチェーン世界」に移行した場合、日本の金融政策が及ぼせる影響力は確実に縮む。

木原氏が「取られてはならない」と表現した背景には、このリアルな構造的リスクがある。筆者は、この発言を「政策ウォッチ上のイベントリスク」として捉えるより、むしろ今後の制度設計の方向性を示す先行指標と読む方が生産的だとみている。


AIとオンチェーンが交差する地点

今回のパネルタイトルが「AIとオンチェーン金融」であることも見逃せない。

AI×DeFiという文脈は2025年後半から急速に具体化してきた。AIエージェントがウォレットを持ち、オンチェーン上で自律的に資産運用・決済を行うというシナリオは、SF的な話ではなくなっている。Virtuals ProtocolやEliza Frameworkを使ったAIエージェントが実際に板を叩くケースも出てきた。

この流れが日本の制度論に入ってきたことは大きい。これまで国内の政策議論はNFT・ICO規制・ステーブルコイン法整備に集中していたが、次のフロンティアはAIと資産運用の境界線だ。誰がAIエージェントの「責任主体」になるのか。そのエージェントが動かす資産はどう課税されるのか。まだ答えは出ていない。


市場への含意

投資家として着目すべき点を整理する。

円建てステーブルコインの政策動向。木原氏の発言は、国内発のステーブルコイン推進に政治的な「お墨付き」が近づいている可能性を示唆する。SBI・三菱UFJ・メガバンク各行がステーブルコイン領域に動いているが、政策的後押しが明確になれば実装スピードは変わる。関連する国内トークンや発行体の株式は注視に値する。

AIエージェント×DeFiの規制リスク。楽観的にだけ見てはいけない。「AIが動かす金融」が政策議論に上がるということは、規制の網がかかるタイミングも近いということだ。グレーゾーンで先行しているプロジェクトにはヘッドウィンドになり得る。

IVS自体のシグナル価値。同カンファレンスに政治家・大手金融機関・Web3スタートアップが同じ場に立つのは、数年前には考えにくかった。業界のレギティマシー(正当性)が着実に高まっている証拠であり、機関資金の国内流入を占う材料の一つになる。


まとめ

木原誠二氏の「通貨主権を守れ」という発言は、IVS2026の一コマとして流すには重すぎる。円建てデジタル決済の覇権争い、AIエージェントの法的位置づけ、そして日本の金融政策がオンチェーン世界でどこまで機能するか──これらは全て地続きの問題だ。政治家の言葉が市場を動かすまでにタイムラグはある。だが方向性の確認という意味で、今回の登壇は記録しておく価値がある。


よくある質問

Q1. オンチェーン金融とは何か?

オンチェーン金融とは、取引・決済・資産管理などの金融機能をブロックチェーン上のスマートコントラクトで直接実行する仕組みを指す。従来の銀行や証券会社などの仲介機関を介さず、コードが自動で契約を履行するため、DeFi(分散型金融)とも呼ばれる。ステーブルコインによる国際送金やオンチェーン上の貸借・運用がその代表例だ。

Q2. 日本で円建てステーブルコインの発行は現在どうなっているのか?

2023年施行の改正資金決済法により、国内銀行・信託会社・資金移動業者がステーブルコインを発行できる法的枠組みが整った。三菱UFJ信託銀行の「Progmat Coin」やSBIなど複数プレイヤーが実証・準備を進めている段階だ。ただし流通量・認知度はドル建てステーブルコインと比べて圧倒的に小さく、木原氏が危機感を示した背景はここにある。

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