暗号資産2026年06月03日 10:35·12分で読めます

Lido(LDO)とは?Dual Governance・V3アップグレードで進化するリキッドステーキングの雄を徹底解説【2026年版】

Lido(LDO)とは?Dual Governance・V3アップグレードで進化するリキッドステーキングの雄を徹底解説【2026年版】
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ポイント

  • stETHの仕組みが核心:ETHを預けると1:1でstETHが発行され、ステーキング報酬を得ながらDeFi(分散型金融)でも自由に運用できる。
  • Lido V3でstVaults導入:機関投資家向けにカスタマイズ可能なモジュール型スマートコントラクト「stVaults」が展開中。プロトコルは単なるステーキング基盤から多機能DeFiプラットフォームへと変貌しつつある。
  • Dual Governance(デュアルガバナンス)が稼働:2025年後半に承認・施行された新ガバナンス構造により、stETH保有者がLDOトークン保有者の決定に拒否権を持つようになった。
  • LDO価格は2021年ATHから大幅下落中:2026年5月時点で$0.30〜$0.40台で推移。時価総額は約3億ドル前後と、ピーク時から大幅に縮小している。

Ethereumのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)移行によって生まれた「リキッドステーキング」という概念を世に広めた立役者、それがLido(リド)だ。2020年末の登場以来、筆者自身も長くウォッチしてきたが、2026年現在のLidoは単純なETHステーキングサービスから、より複雑で機関投資家も視野に入れたDeFiインフラへと進化しつつある。その現状を、技術・市場・リスクの三つの視点で整理する。


Lido(LDO)とは

LDOはLidoのガバナンストークンだ。LidoはEthereumおよびSolanaなど複数のブロックチェーンでリキッドステーキングを提供しており、LDOトークンはLido DAOのガバナンスに使われる。

Lidoの目的は、複数ユーザーのETHをプールすることでステーキングをよりアクセスしやすくし、技術的な専門知識や高額な最低ステーキング額を不要にすることにある。

実際、単独でEthereumのBeacon Chain(ビーコンチェーン)に直接ステーキングするには32 ETH(執筆時点で数百万円規模)が必要だが、Lidoはこの32 ETHという最低額を撤廃し、任意の金額からステーキングしつつstETHによる流動性も維持できる設計になっている。


仕組み・技術

stETHとwstETH

ユーザーがETHをステーキングすると、stETH(Lido Staked ETH)というトークンが返却される。stETHはステーキングされたETHとその報酬の両方を表す。stETHの残高はステーキング報酬の分だけ自動的に増加していく。liquid(流動性のある)トークンとして、stETHはDeFiプロトコルで売買・担保利用・流動性提供に使える。

一方のwstETH(Wrapped stETH)は、残高が変動するstETHのリベース(残高自動増加)機能を取り除いたラップ版だ。wstETHはステーキング報酬が積み上がっても保有枚数が変わらず、代わりに1枚あたりのstETH換算レートが上昇していく。DeFiアプリケーションでの担保として使いやすいのはこちらだ。

バリデーター管理とノードオペレーター

LidoはユーザーのETHをプールし、DAOが選定・管理するノードオペレーター(バリデーター運営者)を通じてステーキングを行う。ユーザーが直接ノードオペレーターに資金を手渡すことはない。

プロトコルはステーキング報酬の10%を手数料として徴収し、ノードオペレーターとLido DAOのトレジャリー(資金庫)の間で折半する。

Community Staking Module(CSM)

従来の厳選されたノードオペレーター体制に加え、分散化を進める新しい仕組みも動いている。Lidoはコミュニティ・ステーキング・モジュール(CSM)を開発・展開した。これはパーミッションレス(許可不要)なバリデーション層であり、ホームユーザーや独立系オペレーターがLidoプロトコル上でEthereumノードを運営できる。標準の32 ETH要件の代わりに、CSMでは1.5〜2.4 ETHのボンド(担保)を預けることでバリデーターキーを取得できる。

Lido V3 ― stVaults

2026年のLido V3アップグレードは、同プロトコルを「ステーキングインフラプロバイダー」から「マルチプロダクトDeFiプラットフォーム」へと転換させる節目となる。

Lido V3の核心はstETHの利用とカスタマイズ可能なステーキングポジションの組み合わせだ。stVaultsはその所有者が作成するスマートコントラクトであり、ETHをEthereum上でステーキングし、オプションでstETHを発行することもできる。stVaultsが既存のLidoと大きく異なるのは、バルトオーナーが運営上の意思決定をコントロールできる点だ。オペレーターや手数料の選択が可能で、リスクと報酬のプロファイルをより細かく設定できる。

Lido V3の主要目標の一つは、モジュール型stVaultsを通じてステーキングエコシステムを拡大し、2026年末までに100万ETHのステーキングを目指すことだ。これらのVaultはstETHベースのETFを含む機関投資家向けラッパーもサポートする。


歴史・主要マイルストーン

Lido DAOは2020年、Konstantin Lomashuk、Vasiliy Shapovalov、Jordan Fishの3名によって設立された。

Lido DAO発足と同時に10億枚のLDOトークンが発行された。2021年5月にParadigmを筆頭とする機関から7,300万ドルを調達。2022年3月にはa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)から7,000万ドルの追加投資を受けている。

その後、Ethereum Mergeを経てPoS(プルーフ・オブ・ステーク)移行が完了し、Lidoの存在感は急上昇した。LDOの全時間最高値(ATH)は$7.30を記録した。

2023年にはLido v2が稼働し、ETHの引き出しが可能になったことで流動性が格段に向上。そして2025年〜2026年にかけて二つの大きな変化が訪れた。

Dual Governance(デュアルガバナンス)の承認と施行:Lido DAOはデュアルガバナンス制度の導入を正式承認した。コミュニティ投票の結果として2025年6月30日に確認され、7月4日にオンチェーンで稼働を開始。この新ガバナンス構造では、stETH保有者がLDOトークン保有者の決定を阻止または遅延させる権限を持つ。これは、stETHのロック量に比例して意思決定を遅延させるダイナミックタイムロック機能によって実現される。

Chainlink CCIPとの統合:2026年5月、LidoはクロスチェーンコミュニケーションのためにChainlink CCIPを採用することを発表した。


現在の市場動向

2026年5月時点のLDO価格は$0.326前後で推移している。ATHの$7.30に対し、現在はそこから約95%下落した水準だ。

時価総額に目を向けると、2026年6月現在のLido DAOの時価総額は約3.3億ドルで、CoinGeckoランキングで131位前後に位置する。

大局的な市場センチメントは依然として厳しい。LDOのウィークリーチャートを見ると、2024年初頭から下降チャンネルの中にあり、高値と安値が切り下がり続けている。

一方、機関側からの注目は続いている。Grayscaleは四半期リバランスでLido DAO(LDO)をDeFiファンドのコンポーネントとして4.73%のアロケーションで維持している。UniswapやAaveと並ぶ形で組み込まれており、機関ポートフォリオにおけるコアDeFi資産としての地位を保っている。

プロトコル自体の収益は存在感を示している。直近24時間のLido DAOの手数料収入は約228万ドル、プロジェクト収益は約22.9万ドルを記録した。

トークノミクス面では、NEST(GOOSE-2)イニシアチブとして、DAO収益の一部(stETH)を使ってLDOトークンをオープンマーケットで系統的に買い戻すプログラムが進行中だ。これはLDOに直接的な需要ドライバーを生み出すことが狙いで、トークン価格とプロトコルのファンダメンタルズの乖離を縮める試みでもある。


日本での購入方法

結論から言うと、LDOは2026年現在も日本の金融庁登録取引所(いわゆる国内取引所)での取り扱いがない。Coincheck・bitFlyer・GMOコイン・SBI VC Trade・BITPOINTいずれも、LDOの現物取引は提供していない。

国内の規制環境では、DeFiガバナンストークンの新規上場審査が厳しく、LDOはその対象外にとどまっている。

購入の現実的な手順は以下の通りだ:

  1. 国内取引所でBTCまたはETHを購入する(Coincheck・bitFlyer・GMOコインなど、いずれも対応)
  2. 購入した暗号資産を海外取引所に送金する
  3. 海外取引所でLDOを購入する

LDO自体はBinance・Coinbase・KuCoin・Krakenなど主要な海外取引所で購入可能だ。なお、海外取引所の利用にあたっては各取引所の利用規約・本人確認要件を必ず確認してほしい。

税金の注意点:日本居住者が暗号資産で得た利益は「雑所得」として総合課税の対象になる。最高税率は住民税を含めると**55%**に達する。LDOをETHで購入した場合もETH→LDO交換の時点で課税イベントが発生し得る点に注意が必要だ。stETHを他のDeFiプロトコルで運用して生じた報酬も、受け取り時点の評価額が所得となる。確定申告の際は必ず専門家または税務当局の最新ガイドラインを参照してほしい。


投資リスクと注意点

Lidoを取り扱う上で見落としがちなリスクをまとめる。

① スマートコントラクトリスク LidoのスマートコントラクトはSigma Prime・Quantstamp・MixBytesなど複数の専門機関による監査を受け、Immunefiを通じた200万ドル以上のバグバウンティプログラムも稼働している。それでもスマートコントラクトリスクはDeFiプロトコルに内在する問題だ。数十億ドル規模のユーザー資金を管理するこれらのコントラクトは、巧みな攻撃者にとって高価値なターゲットでもある。

② stETHのデペッグリスク stETHはETHと1:1でトラッキングするよう設計されているが、市場価格は高ボラティリティや流動性ストレス時に一時的に乖離することがある。2022年5月のデペッグ事件では、1億8,000万ドル以上のstETH担保ポジションが複数のDeFiプロトコルで清算された。

③ 集中化リスク Lidoの急速なスケーリングは、EthereumのコンセンサスバリデーターノードのうちおよそEthereumの23〜30%を単一プロトコルが押さえるという状況を生んでいる。流動性の深さは優れているが、Ethereumコア開発者コミュニティから大きな分散化懸念が寄せられている。

④ 規制リスク 規制の不確実性は長期的な検討事項だ。複数の管轄区域の金融当局が、リキッドステーキングデリバティブが有価証券に該当するかどうかを評価している。Lidoの分散型構造が一定の保護をもたらす可能性はあるが、規制当局のアクションはstETHの中央集権型プラットフォームでの取引可能性に影響を与えることもある。

⑤ コンポーザビリティリスク(2026年の新しいリスク層) 2026年には「コンポーザビリティリスク」という追加のリスク層も生まれている。stETHやwstETHをレバレッジ戦略の担保として使うと、ボラティリティ時に損失が増幅される。ベースのステーキング利回りが安定していても、戦略全体が脆弱になることがある。


まとめ

Lidoは2020年の登場から現在まで、Ethereumのリキッドステーキング市場で常に最前線に立ち続けた。2026年のLidoの変革は、DeFiランドスケープにおける大胆な再ポジショニングと言える。モジュール型ステーキングインフラとガバナンス調整済みのトークノミクス戦略を組み合わせ、マルチプロダクトエコシステムの基盤を構築しつつある。

ただし、LDOトークン価格はATHから95%以上下落した現実がある。プロトコルとしての実力は確かでも、ガバナンストークンとしてのバリューキャプチャー問題、競合プロトコルの台頭、規制の不確実性という三つの壁は依然として厚い。Lidoを理解する際は、「プロトコルとしての有用性」と「LDOトークンへの投資」を切り分けて考えることが重要だ。


よくある質問

Q1. stETHとLDOトークンの違いは何ですか?

stETHは、LidoプロトコルにETHを預けた際に発行されるリキッドステーキングトークンだ。stETHはステーキングされたETHと1:1の比率を維持し、他のDeFiプロトコルで利用したり二次市場で取引したりできる。一方、LDOはLido DAOのガバナンスに使われるトークンで、保有者はプロトコルのガバナンス提案に参加し、意思決定に投票することができる。簡単に言えば、stETHは「ETHを預けた証明書+報酬受取券」、LDOは「Lidoプロトコルの議決権」だ。

Q2. Lido V3の「stVaults」で何が変わるのですか?

Lido V3ではモジュール型スマートコントラクト「stVaults」が導入され、ユーザーがLidoのstETHトークンを活用した高度なステーキング戦略を設計できるようになる。stETHを活用できるほぼあらゆる場所でのカスタムステーキング設定(手数料体系、バリデーター構成、リスク・リターンプロファイルなど)が可能になる。このアップグレードは特に機関投資家、ノードオペレーター、資産マネジャーを対象としている。

Q3. Dual Governance(デュアルガバナンス)は何を変えましたか?

デュアルガバナンスにより、stETH保有者はLDOトークン保有者が可決した提案を阻止・遅延する権限を持つようになった。これはstETHのロック量に比例してダイナミックに遅延を発生させるタイムロックの仕組みで実現している。stETH総供給量の少なくとも1%がある提案に反対してロックされると、5〜45日の追加遅延が自動発生する。これによりLDO大口保有者が単独でプロトコルを支配するリスクが大幅に低下した。

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