Berachainエアドロップ完全解剖:PoL(Proof-of-Liquidity)チェーンのBGT戦略と「次の一手」
ポイント
- 2026年5月時点で、BERAの初回エアドロップは完全に終了済み。メインネットは2025年2月6日に正式ローンチし、総供給量の15.75%にあたるBERAトークンがエアドロップとして配布された
- 現在の焦点はPoL v2とBGTファーミング。PoL v2ではBGTが流動性集約の「ターボ」として機能しつつ、BERAがガス代にとどまらずイールドを生む基軸通貨へと進化する構造に移行した
- BERAトークンは$0.37前後で推移(2026年5月時点)。ピーク比約97%下落という厳しい現実がある一方、時価総額$100M・TVL$3.2Bという異常な乖離が注目を集めている
- 次のカタリスト候補は「Bera Builds Businesses(BBB)モデル」。収益を生むアプリケーションを孵化・買収・提携するという戦略的転換が進行中
エアドロップハンターの間で長らく"聖杯"扱いだったBerachainが、2025年2月についにメインネットを迎えた。初回配布は終わったが、PoL(プルーフ・オブ・リクイディティ)という独自メカニズムは今も進化を続けており、エコシステム内でのBGTファーミングは依然として現役の戦略だ。過去の経緯と現在地、そして今から参加する意味を整理する。
Berachainとは何か——なぜエアドロップハンターが注目したか
BerachainはEVM互換のLayer 1ブロックチェーンで、Proof of Liquidity(PoL)と呼ばれる独自のコンセンサスメカニズムを採用する。従来のPoSやPoWとは異なり、PoLはバリデーターのインセンティブを流動性提供とアラインすることで資本効率の向上を目指す設計だ。
トリトークン設計(BERAガストークン・BGTガバナンストークン・HONEYステーブルコイン)とEVM同一アーキテクチャの組み合わせで、DeFiビルダーを引き付けながらステーク資産を使い続けられる点が特徴となっている。
資金調達も潤沢だった。2024年4月にはFramework VenturesとBrevan Howard Digital(アブダビ拠点)が主導する1億ドルのシリーズBを調達。それ以前の2023年4月にはPolychain Capitalが主導で4200万ドルを調達していた。合計1.4億ドル超という数字が、エアドロップハンターの期待値を押し上げた最大の理由の一つだ。
トリトークン構造を理解する
ここを理解しないとBGT戦略は語れない。
- BERA:ガス代・バリデーターステーキング用トークン。バリデーターはBERAをステーク(25万〜1000万)してネットワークを保護し、BGTリワードを受け取る
- BGT(Bera Governance Token):オンチェーンプロトコルへの流動性提供によって獲得するステーキングトークン。BGTはソウルバウンドかつ非流動であり、市場での購入は不可能で、稼ぐしかない
- HONEY:BGTをバリデーターにデリゲート(委任)したユーザーは、ネットワーク上のプロトコルからHONEYのフィーや、委任先バリデーターからの「ブライブ(賄賂)」を得る
重要なのはBGTの出口戦略だ。「非転送可能」と言いながら、BGTは1:1の比率でBERAに不可逆的にバーンできる。このためBGTの市場価値は必然的にBERAトークンに反映される。長期ロックが必要なveCRV(Curveのガバナンストークン)と違い、好きなタイミングで出られる柔軟性がある。
初回エアドロップの全貌——何がどう配られたか
BERAのトークン配布では、コミュニティメンバー・アプリケーション・流動性プロバイダーなどに向けて総供給量の15.75%がエアドロップとして割り当てられた。これはプリローンチエコシステムへの貢献とチェーンを"本物"にした功績への報酬として位置付けられた。
受取資格者の内訳は以下の通り:
- テストネット参加者:Berachain Foundationはテストネットユーザーに825万BERAを割り当て。過去1年間でArtioとbArtioの2つのパブリックテストネットが展開された
- Bong Bears NFT保有者:Bong Bears NFTとリベースコレクション(Bond Bears、Boo Bears、Baby Bears、Band Bears、Bit Bears)向けに3450万BERAが割り当てられた——最大のスライス
- Boyco流動性プロバイダー:Berachain Foundationは1000万BERAをBoycoローンチプログラムに割り当て
- ソーシャルコミュニティ:ソーシャルアドレス枠として125万BERAが、活発なコミュニティメンバーへの報酬として配布
- Binance HODLerキャンペーン:Binanceは2025年1月22〜26日のSimple Earn商品加入者向けに、別途1000万BERAのエアドロップを発表
TGE当日の価格は主要取引所で最初$15程度で寮寮したが、その後急落し$7.68まで下げた。BERAのロング清算合計は2500万ドルに上り、大半はロングポジションが吹き飛んだ。「チェーンが本物になった瞬間」に乗り遅れた人たちが高値づかみしたという教訓はリセットされた。
VC・投資家・一部コミュニティへのトークンは2026年2月から流動化が始まり、2028年まで段階的にベスティングされる構造だ。2026年5月時点でアンロック圧力は現在進行形と理解しておく必要がある。
BGTファーミング戦略——現在も機能するメカニズム
初回エアドロップは終わった。しかしPoLエコシステム内でのBGT戦略は現役だ。
ユーザーがPoL対象資産をリワードヴォールト(アプリケーションが設置するネットワーク報酬配布用スマートコントラクト)にステークすると、BGTリワードが得られる。これがBGTを稼ぐ唯一の方法だ。
フライホイールの流れを整理すると:
- LPトークン等をリワードヴォールトにステーク → BGT獲得
- 獲得したBGTをバリデーターにデリゲート → HONEYやブライブで追加報酬
- バリデーターはBGTデリゲーション量に応じて将来のBGT排出先を決定
- プロトコルはより多くのBGT排出を引き込むために報酬を競い合う
PoL対象のプールのLPになると、通常のファーミング報酬(手数料分配・プロトコル独自ガバナンストークンなど)に加え、プロトコル基盤レイヤーからネイティブにBGTインセンティブも得られ、通常非常に高いAPYになる。
PoL v2の変更点——BERAホルダーへの利益還元
PoL v1では、BGTとそのLP派生物がエコシステムの事実上のリスクフリーレートになっていた。一方のBERAはバリデーター手数料しか稼げず、リテールユーザーへのインセンティブが薄く、機関投資家トレジャリーも大きな報酬がBGTに流れる構造に興味を持ちにくかった。
この問題に対応したのがPoL v2だ。PoL v2はこれへの回答として、将来のPoL排出の約1/3が新設のBERAイールドモジュールに流れる設計になった。v2ではBERAインセンティブモジュールが導入され、ユーザーはBerahubを通じてBERAトークンをシングルトークンステーキング方式で直接ステークし、チェーンエコシステムからのネイティブイールドを得られるようになった。
さらに、BGTのインフレ率が年率約8%から5%に削減(約46%の排出削減)され、一連の「ゴーストトレジャリー」が排除されトレジャリーアクセス基準が更新された。コミュニティからは「主権財政改革」と称されている。
最新動向(2026年5月時点)
「Bera Builds Businesses(BBB)モデル」への戦略転換が最大のトピックだ。ピーク比97%下落という厳しい初年度を経て、Berachain Foundationは「Bera Builds Businesses」モデルを発表。エコシステムに実際のキャッシュフローを生むアプリケーションを孵化・買収・提携することに注力する戦略転換だ。
この戦略はPoL v2アップグレード(プロトコルインセンティブの33%をBERAステーカーに回す)と、EthereumのBetraアップグレードと同様の内容を実装したBectraハードフォークと同時進行で進んでいる。
価格面では厳しい状況が続く。2026年5月10日のXへの公式投稿では、BERAは時価総額$100Mに対してTVL$3.2Bというアンバランスな状況のまま推移している。このMcap/TVL比率の低さは構造問題か、あるいはコントラリアン的な割安シグナルか——両方の見方がある。
ネットワーク安定性では大きな課題もあった。2025年11月には、BEXのBalancer V2脆弱性に対処するため緊急ハードフォークによるネットワーク一時停止が実施された。その後、盗まれた資金は全額回収されたというプロセスが公表された。
2026年4月30日にはWasabi Protocolのハッキングがマルチチェーンで発生し、Berachainも影響を受けた。DeFiリスクはネットワーク固有のものだけでなく、エコシステム上のプロトコルレイヤーからも来ることを示している。
パフォーマンス向上の面では、Preconfirmationシステム(BRIP #0007)が提案されており、トランザクションの処理待ち時間を約2秒から200ミリ秒に短縮することを目指している。実装されれば高頻度DeFiやゲームへの適性が大幅に上がる。
今からBerachainに関わる意味——戦略の整理
初回エアドロ