CryptoMay 24, 2026 10:02·4 min read

Euro and USD stablecoins depeg amid ongoing $2.8M StablR exploit

Euro and USD stablecoins depeg amid ongoing $2.8M StablR exploit
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ポイント

  • ステーブルコインプロトコル「StablR」が攻撃を受け、被害額は280万ドル(約4.3億円)規模に達している
  • ユーロ連動のEURRと米ドル連動のUSDRの2銘柄がペグを喪失、価格が基準値を大幅に下回る事態に
  • ブロックチェーンセキュリティ企業Blockaidは、ミンティング用マルチシグウォレットの署名者1名の秘密鍵が漏洩した可能性が高いと指摘
  • 事態は執筆時点でも継続中とみられ、被害拡大のリスクが残っている

ステーブルコインプロトコルStablRが深刻なエクスプロイト(脆弱性悪用攻撃)に見舞われた。ユーロおよび米ドル連動の2つのステーブルコインがペグを失い、280万ドル規模の資産が流出。Blockaidはマルチシグの秘密鍵漏洩が原因とみている。


何が起きたのか

今回の攻撃で標的になったのは、StablRが発行するEURR(ユーロ連動ステーブルコイン)とUSDB(米ドル連動ステーブルコイン)の2銘柄だ。通常であれば1:1で裏付けられているはずのペグが崩れ、両トークンの市場価格が基準値を割り込んだ。

Blockaidの分析によれば、攻撃の起点はコードの脆弱性ではなく、新規トークン発行(ミンティング)に使われるマルチシグウォレットの構成員1名の秘密鍵が攻撃者の手に渡ったことにある。マルチシグとは複数の署名者が承認して初めて操作が実行される仕組みだが、署名者の一人が危殆化すれば承認フローを突破される恐れがある。攻撃者はこの経路を使って無制限に近い形でトークンを発行し、市場に流し込んだとみられる。


なぜこの事件が重要なのか

ステーブルコインのデペッグは、DeFi(分散型金融)全体のシステムリスクに直結する。過去にはTerraUSD(UST)の崩壊(2022年)が数百億ドル規模の連鎖損失を招いた例がある。規模こそ異なるが、構造的な問題——「安定しているはず」の資産が突然値崩れする——は本質的に同じだ。

特に注目すべきはEURRの存在。ユーロ連動ステーブルコインはUSDT・USDCといったドル連動に比べて流動性が低く、デペッグが起きた際の価格回復が遅れやすい。欧州の規制フレームワーク**MiCA(暗号資産市場規制)**施行後、ユーロステーブルコインへの関心が高まっていたタイミングでの事件だけに、市場心理への影響は小さくない。

マルチシグによる鍵管理はDeFiプロトコルの「標準的なセキュリティ対策」として広く採用されている。それでも秘密鍵1本の漏洩で突破されるなら、鍵の保管方法やシグネチャー閾値の設計を根本から見直す必要がある。業界全体へのシグナルと捉えるべきだろう。


市場への含意

流動性プールに資金を置いているユーザーへの直撃が最大のリスクだ。EURRやUSDBが組み込まれたAMMプール(自動マーケットメーカー)では、デペッグが起きると片方の資産が急速に積み上がるインパーマネントロス(一時的損失の拡大)が発生する。

トレーダー目線では、既にデペッグが進行中の局面での売りは「底値拾いのチャンス」にも「さらなる下落への踏み込み」にもなりうる。ただし事態が継続中である以上、ショートポジションを持つとしても流動性の薄さには要注意だ。玉が消える速さは予想以上になりうる。

より広い視点でいえば、今回の件はステーブルコイン発行体のオペレーショナルセキュリティ(運用上のセキュリティ管理)に対する市場の評価を再び問うことになる。MiCAが鍵管理や準備金の透明性を要求しているのは偶然ではない。

筆者がこの件で特に懸念するのは「継続中」という点だ。攻撃が止まっていないならば、被害額はさらに膨らむ可能性がある。StablR側の公式声明と対応状況を引き続き注視する必要がある。


まとめ

StablRのエクスプロイトは、マルチシグという「堅牢なはず」のセキュリティが秘密鍵1本の漏洩で崩れることを改めて示した。280万ドルの被害はDeFi史上最大規模ではないが、ユーロステーブルコインを含む2銘柄の同時デペッグという点で象徴的な事件だ。事態は収束していない。プロトコルへのエクスポージャーがある場合は即座に状況を確認することが先決だ。


よくある質問

Q1. デペッグ(depeg)とはどういう意味か?

デペッグとは、ステーブルコインが追随するはずの基準価格(ペッグ)から乖離する現象を指す。例えばUSDTやUSDCは1ドル=1トークンを維持するよう設計されているが、需給の崩壊や裏付け資産の問題が生じると0.95ドルや0.90ドルまで価格が下がることがある。これをデペッグと呼ぶ。今回のEURRとUSDBは攻撃による無制限ミンティングが引き金となって市場価格が基準値を割り込んだ。

Q2. マルチシグウォレットの秘密鍵が漏洩するとなぜ資金が危険になるのか?

マルチシグ(Multi-signature)は「複数の署名がそろわないと操作できない」仕組みで、単独の鍵が盗まれても即座に悪用されないよう設計されている。ただし閾値の設定が「3つのうち2つ」などの場合、攻撃者が2本目の鍵を入手するか、または残りの署名者を何らかの形で操作できれば突破できてしまう。今回は1名分の秘密鍵漏洩がどのようにミンティング権限の取得につながったか詳細はまだ明らかになっていないが、設計上の閾値が低かった可能性も排除できない。

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