What Is NEAR Protocol (NEAR)? A Deep Dive Into the AI-Native L1 Evolving With Dynamic Resharding and Post-Quantum Signatures
ポイント
- Nightshadeシャーディング × Chain Abstraction × ユーザー所有AIという3本柱が、NEAR独自のアーキテクチャを構成している
- 2026年6月予定のv2.13アップグレードでは「Dynamic Resharding(動的シャーディング)」と「ポスト量子暗号署名」の2つの重要機能が導入される
- Grayscaleが2026年1月にスポットNEAR ETF(GSNR)を申請しており、SECの審査ウィンドウは最大240日、判断は2026年9月ごろとみられる
- 直近90日で約**+115%のトークン上昇**を記録。AIインフラ銘柄として機関投資家の注目が急増している
NEARという銘柄を初めて調べる人の多くは「またシャーディングのL1か」と思うかもしれない。実際、筆者も2021年のブームのときにそう感じた一人だ。だが2026年現在のNEARは、当時とは別物に近い進化を遂げている。AIエージェントがオンチェーンで自律的に取引し、複数チェーンをまたいで決済を処理するための「ユニバーサルインフラ」という位置づけで、開発速度と機能実装の両面でL1の中でも際立ったアクティビティを見せている。
NEAR Protocolとは
NEAR Protocolは、Illia PolosukhinとAlexander Skidanovが2018年に創設したL1ブロックチェーンだ。PolosukhinはGoogleの機械学習研究者として、現代のLLM(大規模言語モデル)の基盤となったTransformerアーキテクチャの論文「Attention Is All You Need」の共著者でもある。つまりNEARのルーツは純粋なAI研究にある。
2026年のブロックチェーン空間は「エージェンティックWeb」と呼ばれる新局面に入っており、NEARはその最前線にいる。もとはWeb3の技術的障壁をなくすことを目的に設計されたが、いまはAI駆動の包括的エコシステムへと進化した。
公式が掲げるブランドは「The Blockchain for AI」。AIがトランザクションを実行し、Web2とWeb3にまたがって動作するための高性能プラットフォームと定義されている。
仕組み・技術
Nightshadeシャーディング
「シャーディング」とは、ブロックチェーンのデータや処理を複数の区画(シャード)に分割して並列処理することで、スループットを高めるスケーリング手法だ。ガス代(Gas、処理手数料)の高騰が慢性化したEthereumとは対照的なアプローチといえる。
2025年Q3の時点でNEARはネットワークに9番目のシャードを追加しており、トランザクション処理能力を12.5%向上させた。
そして次の大きな変化が目前に迫っている。2026年6月にNEARはDynamic Reshardingを導入する予定で、これによりプロトコルは需要の増加に応じてシャードを自動的に追加できるようになる。AIによるオンチェーン経済のスケーラビリティ強化と、ポスト量子セキュリティの追加が同時に行われる。
「これまでシャードの追加には、バリデータの数週間にわたるコーディネーション、投票、段階的ロールアウトが必要だった。Dynamic Reshardingはそれを自動化する。シャードが一定のステートサイズ閾値に達すると、自動的に分割され、人間の介入なしにステート・ウィットネスによって検証される」
Chain AbstractionとNEAR Intents
Chain Abstractionはもはや概念段階ではなく、本番稼働中の機能だ。Multi-Party Computation(MPC)とChain Signaturesを通じて、1つのNEARアカウントがBitcoinやEthereumを含む25以上のブロックチェーン上のトランザクションに署名できる。
NEAR Intentsは、ユーザーや AIエージェントが「何をしたいか」を宣言するだけで、実行経路の最適化はプロトコル側が担う仕組みだ。AIエージェントが特定チェーンにトークンを保有したり個々のブリッジプロトコルを経由したりする必要がなく、達成したい目標を表明すれば、ソルバーがチェーンをまたいだ最適経路を見つける。あるチェーンでコンピューティングリソースを購入し、別のチェーンで決済し、さらに別のチェーンにデータを保存するようなAIエージェントにとって、この抽象化は実用上の意味が大きい。
2026年4月時点でIntentsの累積取引量は60億ドルを超えた。主要なNEARウォレット5つすべてが対応し、2026年3月にはBrave Browserがネイティブ統合を果たし、7,000万人以上のユーザーがブラウザを離れることなくIntentsを利用できるようになった。
コンセンサスメカニズム:Doomslug
NEARのコンセンサスはPoS(Proof of Stake)の一変形である「Doomslug」と呼ばれる。完全なBFT(Byzantine Fault Tolerant)ファイナリティには2ラウンドの通信が必要だが、1ラウンドでほぼ瞬時の実用的ファイナリティも提供する。
ポスト量子セキュリティ
2026年Q2のテストネットでは、FIPS-204(ML-DSA)を使ったポスト量子セキュア署名が追加される。NEARの鍵ローテーション機能により、ユーザーはアカウントアドレスを変えることなく量子セーフな署名方式に移行できる見込みだ。
トークノミクスの変化
2025年Q4にHalving Upgrade(半減アップグレード)が完了し、プロトコルの最大年間インフレ率が5%から2.5%に引き下げられた。トークン供給は現在すべてアンロック済みであり、この供給面の引き締めが長期ホルダーにとって重要な変化だ。
2026年2月23日にはNEAR Intentsの手数料変換メカニズムが稼働し、Intents手数料の100%がNEAR トークンのオープンマーケット買い付けに充当されるようになった。アナリストは日次Intents取引量が1億7,700万ドルを超えると、NEARが純デフレになる「デフレ閾値」があると試算している。
歴史・主要マイルストーン
| 時期 | 出来事 | |------|--------| | 2018年 | Illia Polosukhin / Alexander Skidanovがプロジェクト開始 | | 2020年4月 | メインネット正式ローンチ(ジェネシス10億NEAR) | | 2021年 | DeFiブームでATH(最高値)へ接近、エコシステム急拡大 | | 2022年 | NEAR ATH約20ドル付近。その後の暗号資産冬到来 | | 2023年〜2024年 | Chain Signatures・AI連携にピボット | | 2025年Q3 | 9シャード体制に拡張。需要増のシグナル | | 2025年Q4 | Halving Upgradeで最大インフレ率を5%→2.5%に削減するガバナンス変更が実施された | | 2026年2月 | IronClaw(プライバシー特化AIアシスタント)を立ち上げ | | 2026年1月 | GrayscaleがスポットNEAR ETF(GSNR)をSECに申請 | | 2026年5月 | Dynamic Resharding・ポスト量子署名発表。トークン価格が月次で+115%急騰 | | 2026年6月(予定) | v2.13アップグレード(Dynamic Resharding正式導入) |
現在の市場動向(2026年5〜6月)
2026年5月のNEARは、複数のカタリストが重なって急激な注目を集めた局面だった。
このラリーは、機密オンチェーントレジャリー、AIプロンプトプライバシー、ネットワークの自動スケーリングという3つの製品展開が集中したことを反映しており、NEARをAIエージェントと機密ファイナンスの決済レイヤーとして位置付けようとする動きだ。
5月、TrezuがConfidential Treasuriesを立ち上げた。これは35以上のチェーン上でプライベートなオンチェーンマルチシグ・給与管理・資金管理・クロスチェーン決済を提供するもので、NEARのプライベートシャーディングとIntentsインフラを利用している。
また、NEAR AIはClaudeやChatGPT、Geminiなどのクローズドモデルへ送信されるプロンプトから、個人識別情報(PII)を自動でアノニマイズする機能を展開した。センシティブなデータはユーザーのマシンを離れず、企業のAI推論コストとデータ漏洩リスクへの懸念に応えるものだ。
5月22日には著名トレーダーArthur Hayes(元BitMEX CEO)がNEARをAIインフラ銘柄のトップピックとして挙げ、これが大きな価格上昇の引き金となった。
この動きは、AIナラティブと著名人の支持によって引き起こされた37.9%の週次ラリーのあとの調整局面だ。
ETF動向については、ビットコインETFへの逆風がアルトコイン全体に影響している点にも触れておく必要がある。足元では米国のスポットビットコインETFへの資金流出が継続しており、広義の仮想通貨市場全体のセンチメントを圧迫している状況が続く。この環境下でNEARのスポットETF申請がどのように扱われるか、2026年9月前後の審査結果が注目される。
資金がミームコインから、BitwiseのNEAR Staking ETPのような機関向け商品を持つプロジェクトへ移動していることが、この変化の一因となっている。
時価総額はCoinMarketCap上で約29.8億ドル、順位は31位前後で推移している(2026年6月1日時点)。
日本での購入方法
2026年6月時点で、NEARは国内主要取引所には上場していない銘柄だ。bitFlyer・Coincheck・GMOコイン・SBI VC Trade・BITPOINTいずれの取扱い銘柄一覧にNEARは含まれておらず、国内金融庁登録業者での直接購入は現状難しい状況にある。
NEARを購入する場合は、以下の流れが一般的だ。
- 国内取引所(Coincheck、GMOコイン等)でBTC・ETH・XRPなど主要コインを購入
- 海外取引所(Binance、Bybit、Kraken等)に送金してNEARと交換
- 本人確認(KYC)の完了が海外取引所利用の前提となる
グローバルにはBinance、Coinbase、OKX、Gate.io、Huobi、Kraken、Crypto.comなどで取引可能だ。
なお、日本の法規制上、金融庁への登録がない海外取引所の利用は自己責任となる。トラベルルール(FATF勧告に基づく資金移動追跡規制)への対応状況も取引所によって異なるため、送金前に各取引所の規約・制限を確認することが不可欠だ。
投資リスクと注意点
競合チェーンとの激化
L1同士の競争、規制リスク、セキュリティの脆弱性、マクロ経済の悪化はいずれもトークンパフォーマンスを制約しうるリスクだ。
SolanaもクロスチェーンCapabilityを拡張しており、Ethereumにもサードパーティの抽象化レイヤーが存在する。Chain Abstractionナラティブでの差別化の余地は縮小しつつある。
ナラティブ依存の価格変動
AIリンクのトークンは、トレーダーがニュースが価格に織り込まれたと判断した瞬間に利益確定売りが出やすい。
テストネット上での1,000,000 TPS達成とライブメインネットの平均63 TPSの間には大きな乖離があり、マーケティング上の数字と実際の稼働状況の差を意識する必要がある。
日本の税制
日本居住者がNEARの売却・交換・ステーキング報酬を得た場合、暗号資産の利益は雑所得として扱われ、他の所得と合算される総合課税の対象になる。給与所得などと合わせた所得額によっては、最大55%(所得税45%+住民税10%)の税率が適用されるケースもある。確定申告の際には取得価額・売却価額・取引日時を正確に記録しておくことが必須だ。
まとめ
NEAR Protocolは、2021年のシャーディングL1としての文脈を超えて、2026年現在は「AIエージェントが自律的に動くオンチェーン経済のレール」として再定義されつつある。共同創業者Illia PolosukhinはNEARをAI駆動のコマースと実行処理の根幹インフラと位置付けている。
技術面では、6月のv2.13アップグレードによるDynamic Reshardingとポスト量子署名の実装が最大の注目点だ。機関投資家動向ではGrayscaleのETF申請が進行中で、BitwiseのNEAR Staking ETPはすでに稼働している。一方で、現時点での日本国内取引所での取扱いはなく、購入には海外取引所経由というステップが伴う。
技術的な野心とエコシステムの実態の間にあるギャップを見極めながら、進捗を追跡していきたいプロジェクトであることは間違いない。
よくある質問
Q1. NEARはPoWですか?PoSですか?
NEARはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)ベースの独自コンセンサス「Doomslug」を採用しています。完全なBFTファイナリティには2ラウンドの通信が必要ですが、1ラウンド終了時点でほぼ即時の実用的ファイナリティが得られる設計です。PoW(プルーフ・オブ・ワーク)のようなマイニングは不要で、NEARをステーキング(ネットワーク担保として預け入れること)することでバリデータとしてネットワークを支えられます。
Q2. NEAR ETFの現状は?
Grayscaleが2026年1月20日にスポットNEAR ETF(ティッカー:GSNR)をSECに申請しており、BitwiseはNEAR Staking ETPをすでに欧州市場で提供しています。SECの審査は最大240日のウィンドウがあり、判断は2026年9月ごろになる見通しです。日本のETF承認とは別の話で、国内での購入手段の変化には直結しない点に注意してください。
Q3. Chain AbstractionとNEAR Intentsはどう違うの?
Chain Abstraction(チェーン抽象化)は、複数ブロックチェーンの技術的複雑さをユーザーから見えなくするという概念・アーキテクチャの方向性です。NEAR Intentsはその具体的実装で、「$100分の最高利回りのステーブルコインを買って」のような意図(インテント)を宣言するだけで、NEARのインフラがルーティング・署名・実行をWeb3全体にわたって自動処理します。Intentsはいわばその窓口機能にあたります。
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