BTCは高値から半値以下——21Sharesが年末10万ドル回復シナリオを提示
ポイント
- ビットコインは2025年10月に記録した過去最高値126,000ドルから約50%下落した水準で推移している
- 資産運用会社21Sharesは、年末までに100,000ドルへの回復をベースケースとして想定
- 今回の半減期後の値動きパターンは、過去サイクルと「依然として類似している」と同社は分析
- 半減期後特有の調整局面が長期上昇の前段階として機能している可能性を示唆
BTCが12万6,000ドルの天井を付けてからおよそ8ヶ月。現在の価格は高値比50%割れ近辺で漂っている。スイス拠点のETPプロバイダー・21Sharesは、この下落を「異常」とは捉えず、むしろ過去の半減期サイクルと整合的な動きだとして、年末10万ドル回復を軸シナリオに据えた。
半減期後の「見慣れた景色」とは何か
ビットコインの半減期(マイニング報酬が半分になるイベント)は4年ごとに訪れ、過去3回はいずれも「半減期後1〜2年以内に価格が大幅に上昇する」という結果になった。ただし上昇前には必ずと言っていいほど、数ヶ月単位の調整・横ばい期間が挟まる。
2024年4月に迎えた直近の半減期後、BTCは2025年10月に126,000ドルという史上最高値を更新した。問題はその後だ。現在の水準は63,000ドル前後——半値以下まで押し戻されている。数字だけ見れば恐怖を覚えるが、21Sharesはこのパターンを「見慣れた景色」と表現した。
過去のサイクルを振り返っても、半減期後の最高値更新からその後の急落は珍しくない。2017年末の20,000ドル→2018年の3,000ドル割れ、2021年の69,000ドル→2022年の15,000ドル台がその典型例だ。いずれも「終わった」と言われたが、次のサイクルで更新した。21Sharesが「まだ見慣れた動き」と言う根拠はここにある。
100,000ドル回復シナリオの前提
21Sharesが年末10万ドルをベースケースに置く背景には、いくつかの構造的な要因がある。
まずETF(上場投資信託)を通じた機関投資家マネーの流入継続だ。米国でのビットコイン現物ETF承認後、機関投資家の市場参加は質・量ともに以前とは別次元になっている。短期的な価格変動に動じないアロケーター層の存在は、底値を切り上げる力として機能しやすい。
次に需給構造の問題。半減期でマイナーへの新規供給が半減したことで、売り圧力の供給源そのものが縮小している。これは時間をかけてじわじわと需給を引き締める方向に作用する。
もっとも、筆者は21Sharesのシナリオをそのまま受け取ることには慎重でいたい。同社はビットコイン関連ETPを販売する立場であり、強気見通しを出すことへのバイアスは当然ある。加えて、マクロ環境——米国の金融政策、ドル動向、地政学リスク——は依然として読みにくい局面だ。
市場への含意
現在の水準でポジションを持つ投資家にとって、最も重要な問いは「これが過去サイクルと本当に同じ構造か」という点だ。
類似点は確かにある。高値から約50%の調整、半減期後の供給減少、機関参加の拡大。ただし相違点も無視できない。2025年の段階でBTCは既に「リスク資産の一角」として株式市場との相関が高まっており、純粋な「デジタルゴールド」的な動きをするとは限らない。株安・リスクオフ局面での連れ安リスクは過去サイクルより大きい。
板の薄い時間帯に大口の売りが入れば、あっという間に5〜10%動くのが現在のBTC市場の現実だ。21Sharesのシナリオが仮に正しいとしても、そこへ至る過程は決してなだらかではないだろう。
トレーダー視点では、63,000〜65,000ドルのゾーンが短期的なサポートとして機能するかどうかが当面の焦点になる。ここを割り込むようであれば、55,000ドル台への再試験も視野に入る。
まとめ
21Sharesはビットコインの足元の下落を「半減期後の典型的な調整」として位置づけ、年末10万ドル回復をシナリオの中心に置いた。過去サイクルとの類似性は確かに存在するが、機関投資家の参入によりBTCのリスク資産相関が強まっていることも事実で、単純なパターン投資は危険を伴う。構造的な強気論と、マクロリスクへの目配り——この両方を持ち合わせることが今の市場では求められる。
よくある質問
Q1. ビットコインの半減期とは何か?
ビットコインのマイニング(採掘)報酬がおよそ4年ごとに半減するイベントを指す。具体的には、新規に発行されるBTCの量がブロックごとに半分になる仕組みで、直近では2024年4月に発生し報酬は3.125BTCに減少した。供給量の増加ペースが落ちることで、需要が一定であれば価格に上昇圧力がかかると広く解釈されている。
Q2. 21Sharesが「年末100,000ドル」を予測する根拠は何か?
同社は主に2つの根拠を挙げている。一つは過去の半減期後サイクルとの価格パターンの類似性——高値から50%前後の調整後に回復するという歴史的な流れ。もう一つは、現物ETFを通じた機関投資家の継続的な資金流入と、半減期による供給圧力の低下という需給面の構造変化だ。ただし、同社がビットコイン関連商品の販売者である点は考慮しておく必要がある。
出典:The Block(2026年6月24日)